離職率って一体何? 就活に役立つ離職率の正しい読み取り方を大公開

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この記事のアドバイザー

  • 神谷 政利

    採用コンサルタント兼キャリアアドバイザー。幅広い業界や教育機関の支援をする広告代理業の経験…続きを見る

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  • 若林 真穂

    採用コンサルタント兼キャリアアドバイザー。就活生の意思を尊重することを第一に、採用コンサル…続きを見る

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目次

離職率の見落としはキケン! 離職率の正しい見方を知って就活に役立てよう

伊藤うみ

離職率って普通どれくらいの高さなのだろう……。よくわかんないなぁ。

渡辺キャリアアドバイザー

伊藤さん、どうかされましたか? お、企業研究をしているのですね。

伊藤うみ

渡辺さん! そうなのです。企業研究をしている中で「離職率」というデータを見つけたのですが、これって何かの参考になりますか? これが高い数値なのか低い数値なのか、どうやって見たら良いのかわからなくて……。

渡辺キャリアアドバイザー

たしかに、離職率はよく耳にする言葉でも、なかなかその正しい意味や適切な読み取り方を知っている人は少ないかもしれませんね。しかし、離職率は企業のことを知るうえで重要なヒントにもなるので、これを機に正しい見方をマスターしてみませんか? 

伊藤うみ

渡辺さん、ぜひよろしくお願いします! 

企業を調べる際にしばしば見かける「離職率」の文字。離職率が高いと不安を覚える学生もいるでしょう。

この離職率は何を示しているのか、離職率を見ることで何がわかるのか、離職率の背景にはどんな企業の特徴が隠れているのかなど、今回は離職率について徹底解説します。計算式や日本企業における平均離職率なども紹介していくので、企業研究に役立てましょう。

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離職率とは? 意味を理解して正しく就活情報を集めよう

伊藤うみ

そもそも離職率って何を指しているのでしょうか……? 定義って何かありますか? 

渡辺キャリアアドバイザー

まずは基本から知ろうとする姿勢、素晴らしいですね。では、離職率の定義や離職率と逆の意味を持つ言葉などを紹介していきます!

離職率の意味|一定期間において離職した社員の割合

離職率とは「一定期間において離職した社員の割合」のことを指します。ここでいう離職は定年退職などを含まずに算出されることが一般的です。

一定期間は企業が定めた期間となりますが、基本的には1年や入社後3年などのスパンで区切り、算出されることが多いです。

離職率は企業の働きやすさを示す指標のひとつとなっています。しかし、離職率が高いからといって必ずしもその企業の労働環境が悪いというわけではありません

渡辺キャリアアドバイザー

このあと数値の見方や離職率の背景となっている要因についても詳しく解説しているので、ぜひ最後まで読み進めてみてくださいね。

対となる言葉|定着率=入社した社員が企業に残っている割合

離職率とともによく聞かれる言葉が「定着率」です。定着率は離職率の逆で入社した社員が企業に残っている割合のことを指しています

定着率をもとめるための計算式はありませんが、該当する年の入職者の離職率を100%から引いた数字が定着率として示されることが一般的です。

伊藤うみ

では、入社5年目の離職率が20%であれば、定着率は80%となる、ということで合っていますか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

その通りです! 

キャリアアドバイザーコメント

要注意! 離職率だけにとらわれないようにしよう

離職率は、その企業での働きやすさを示す指標のひとつです。もちろん企業選びの際には重要な判断材料となりますが、離職率だけで企業の善し悪しを判断してしまわないように注意しましょう。

なぜなら、離職率が低いからといって、その企業がすべての人にとって働きやすいとは言い切れないからです。働きやすいと感じる職場は人それぞれなので、正解はありません。どのような事業内容や社風で、どんな社員がいるのか、そしてどのような会社が自分に合うのかを知ることが最も大切なのです。

離職率はひとつの目安として考え、業界や企業研究、自己分析を事前にしっかりおこない、自分に合う企業を見つけることをおすすめします。

離職率はどのようにもとめるの? 離職率の計算方法を知ろう

伊藤うみ

離職率は一定期間に離職した社員の割合のことを指すのですね。では、具体的にどのように離職率をもとめるのでしょうか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

どのように算出するのかがわかるとよりイメージがわきやすいですよね。では、離職率はどのようにもとめられるのか、その計算式についても解説していきましょう。

伊藤うみ

ありがとうございます! 計算式を知っていれば、離職率が調べられない場合でも必要な数値が公表されていれば自分でもとめることも可能になりますよね。しっかりメモを取っておこうと思います! 

ここからは離職率の計算方法について解説していきます。どのような計算式で離職率がもとめられるのかがわかると、よりその数値の高さや低さを実感できます。

今回は基本の計算方法に加えて、全社員の離職率や新入社員の3年以内離職率など、基本の計算方法の応用についても解説していきます。

特に新入社員の3年以内離職率などは気になる人も多いと思います。計算式を覚えておくと良いでしょう。

基本の計算方法|期間内の離職者数÷社員数×100

まずは基本の計算方法について解説します。離職率は一定期間に離職した社員の割合のことを指します。そのため、離職率をもとめるための計算式は以下のようになります。

基本の計算式

  • 離職率(%)=期間内の離職者数÷社員数×100

このように離職率はもとめられますが、期間をどのように設定するか、どのような社員を対象とするかによって離職率は変わります。しかし、この基本の計算式を覚えておけば、期間や対象を変えるだけでもとめたい離職率をすぐに出すことができます。

渡辺キャリアアドバイザー

たとえば、全社員の離職率、新入社員の離職率、新入社員の3年以内離職率などです。

伊藤うみ

基本の計算式を覚えておけば、期間や対象の社員を変えて、さまざまな切り口での離職率を出すことができるようになるのですね。

渡辺キャリアアドバイザー

そうなのです。では、実際に計算式を考えてみましょう。今挙げた「全社員の離職率」「新入社員の離職率」「新入社員の3年以内離職率」の計算式についても紹介します! 

全社員の離職率|年度内の離職者数÷年度初めの社員数×100

全社員の離職率を、期間を1年間と設定してもとめるとします。そのような場合、全社員の離職率をもとめる計算式は以下のようになります。

全社員の離職率をもとめる計算式

  • 全社員の離職率(%)=年度内の離職者数÷年度初めの社員数×100

離職率は一般的に正社員を対象にして算出される傾向にありますが、非正規雇用の社員も含めた社員数や離職者数がわかる場合は、非正規雇用も含めた全社員の離職率をもとめられます

渡辺キャリアアドバイザー

アルバイトやパート、派遣といった雇用期間に定めがある非正規雇用の社員は、離職率を計算するときは含まないのが一般的です。

伊藤うみ

たしかに、学生時代にアルバイトをしていても、卒業と同時に辞めてしまうといった人がほとんどですものね。

新入社員の離職率|新卒の離職者数÷新卒入社の人数×100

新入社員の離職率をもとめる計算式は以下のようになります。

新卒の離職率をもとめる計算式

  • 新卒の離職率(%)=新卒の離職者数÷新卒入社の人数×100

もとめたい期間を設定し、上記の計算式に当てはめることで新入社員の離職率をもとめることができます。

たとえば、新入社員が入社してから1年間のうち、どの程度が離職しているかを知りたいとします。4月に新入社員を15名採用し、翌年の3月までに3名が離職すると

3名(新卒の離職者数)÷15名(新卒入社の人数)×100=20%(離職率)

となります。

伊藤うみ

新卒の離職率は私たち学生からすると気になる数値ですよね。

渡辺キャリアアドバイザー

そうですよね。では、もうひとつ新入社員の3年以内離職率についても、計算の仕方を紹介します。

新入社員の3年以内離職率|3年以内の離職者数÷新卒入社の人数×100

新卒の離職率をもとめる計算式を紹介しましたが、期間を3年間と設定することで「新入社員の3年以内離職率」をもとめることができます。計算式は以下のようになります。

新入社員の3年以内離職率をもとめる計算式

  • 新入社員の3年以内離職率(%)=3年以内の離職者数÷新卒入社の人数×100

たとえば、2023年度に25名の新入社員が入社したとします。2023年~2025度にかけて新入社員のうち4名が離職したとき、

4名(3年以内の離職者数)÷25名(3年前の新入社員の人数)×100=16%(離職率)

となります。

伊藤うみ

よく3年以内の離職のことを「早期離職」といったりしますよね? 

渡辺キャリアアドバイザー

たしかに一般的には3年以内の退職は早期離職と言われています。一概には言えませんが、この新卒の3年以内離職率は働きやすさを考えるうえで重要視している人が多いですね。

伊藤うみ

それはなぜでしょうか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

3年以上働いたうえで退職をする人は、たとえば結婚や出産、家族の転勤、キャリアチェンジなど、ライフプランやキャリアプランを理由に退職するケースも多いからです。

伊藤うみ

3年以内の場合は、そのような理由よりもミスマッチや人間関係を理由に退職する人が多い傾向にあるというわけですね。

離職率は調べた方が良いの? 離職率を調べることによるメリットを紹介!

離職率を調べることによるメリットの画像

伊藤うみ

周りが離職率を結構気にしているので、何となく私も調べた方が良いのかなくらいに考えていたのですが、離職率を調べた方が良い理由って具体的に何かありますか? 

渡辺キャリアアドバイザー

良い質問ですね! たしかに離職率を気にしている人は多いですが、しっかり調べられている人は少なかったり、調べるうえでのメリットを正しく理解している人も少ないかもしれません。

伊藤うみ

計算方法とか、今まで気にしたことありませんでした……。

渡辺キャリアアドバイザー

そうですよね。では、ここからは離職率を調べるメリットについて解説していきたいと思います! 

①なぜその数値になっているのか? 働く環境を知るヒントになる

渡辺キャリアアドバイザー

まず離職率を知ることのメリットとして最も大きいのは、働く環境を知るヒントになるという点です! 

伊藤うみ

1社1社、離職率の数値が違うということは、その背景にある理由もさまざまということになりますもんね。

離職率を知ることは、その会社で働く環境を知るヒントとなる可能性が高いです。離職率は一定の期間の中で、どれくらいの人が離職しているかをはかるためのものなので、たとえば離職率が高いのには、以下のような背景があると予想することができます。

離職率が高い背景の例

  • 残業が多い
  • 教育体制が整っていない
  • 人事評価があいまい

離職率が高い会社の特徴については後ほど詳しく説明しますが、離職率が高いからといって必ずしも悪い会社とは言い切れません。また、重要なことは「自分がどのような会社で働きたいと考えるか」です。

残業が多かったとしても、残業代がしっかりと出る会社であれば働きたいと考える人もいるかもしれませんし、離職率が高い会社は、役職のポストが空きやすいため、成績次第では昇進のチャンスが多いとも言えます。

このように離職率が高い会社が一概に自分に合わない会社というわけではないことを覚えておきましょう。それよりも、自分が働くうえでどのようなことを重要視しているのかを考え、それを基準に会社選びをおこなうことが大切です。

②離職率は社員の満足度である可能性も! 隠れた社員の本音を知れる

渡辺キャリアアドバイザー

離職率は働く環境を知るヒントとなるという話をさせていただきました。それと少し似ているのですが、離職率は社員の隠れた本音を知れるとも言えます。

伊藤うみ

……? どういうことでしょうか? 

渡辺キャリアアドバイザー

企業説明会やインターンなど、学生に会社を紹介するような場面では、学生に入社してほしいという気持ちから、会社の環境や実態を良く見えるように話している会社もあります。

伊藤うみ

たしかに「残業が多すぎてプライベートの時間が取れない」と正直に学生に話しても「この会社に入社したい!」とは思えないですもんね……。

離職率は社員の満足度とも言われていて、隠れた社員の本音である可能性があります。

就活の場面では、少しでも学生に会社について興味を持ってほしいと考えるため「残業が多すぎる」「チームメンバーがコロコロ変わる」など正直に伝えることはなかなかありません。そのため、離職率の数値と社員の言葉に明らかな差がある場合には注意が必要です。

そのような場合には離職率に社員の本音が隠れている可能性が高いため、たとえば「仕事とプライベートの両立はどのようにおこなっていますか」や「働きやすいと思う瞬間はどんなときですか?」と質問してみたり、研修制度などを調べて確認することで、情報を集めていきましょう

③データで可視化されているからこそ! 他社との比較材料にしやすい

渡辺キャリアアドバイザー

離職率を調べることで得られるメリットとして最後に挙げるのは「他社との比較材料にしやすい」という点です! 

伊藤うみ

これは何となくわかります! データ化されているからこそ、比較するのにはうってつけの情報ですよね。

離職率はデータとして可視化されているからこそ、他社との比較材料になりやすいというメリットがあります。

たとえばA社の社員もB社の社員も「私の会社は働きやすい会社です」といっていたとしても、働きやすいと感じる度合いは人によってさまざまです。

しかし数値化されている離職率は「ある一定期間にどのくらい人が辞めているか」という同じ基準ではかっているため、比較検討しやすいことがわかるでしょう。

「ある一定期間」が同じ期間かどうかに注意する必要はありますが、他社と比較する際の材料のひとつとして離職率は有効であるといえるので

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離職率はどこで見れる? 離職率の調べ方についてまるっと解説

離職率の調べ方の画像

伊藤うみ

渡辺さん! 離職率の計算方法についてはわかったのですが、そもそも離職率ってどこで見れるのでしょうか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

実は離職率を調べる方法はさまざまあります! 

伊藤うみ

そうだったのですね! 

渡辺キャリアアドバイザー

ただ、紹介する調べ方すべてにおいて必ず離職率がわかるとは限りません。調べてもわからない場合もあるので、さまざまな調べ方を知っておくことが大切です! 

伊藤うみ

わかりました! もし1つの調べ方でわからなくても、別の方法で調べられるように渡辺さんの解説をしっかりメモしておきたいと思います! 

①就職四季報を見る

渡辺キャリアアドバイザー

まずは「就職四季報」で調べてみましょう! 

伊藤うみ

就職四季報とはどのようなものでしょうか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

企業の基本的な情報を一通り調べられる優れものです! 1冊持っておくと便利ですよ。

就職四季報とは東洋経済新報社が発行している、給与や待遇、採用情報など会社の基本的な情報を調べることができる就活に役立つ情報誌です。

入社3年後の離職率や平均勤続年数だけではなく、企業に直接聞きづらい有休消化率や平均残業時間などが確認できます。

また、選考のポイントや採用プロセスなどの情報も入手できるのです。このように、就活を進めるうえで必要な情報が盛りだくさんのため、手元に1冊あると便利でしょう

就職四季報にはいくつか種類があるため、自分に合うものを選びましょう。

就職四季報の活用の仕方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてチェックしてみてくださいね。
就職四季報で得られる情報とは? 就活生のバイブルを徹底解説!

②キャリアアドバイザーに聞く

渡辺キャリアアドバイザー

就職四季報で調べる方法についてお伝えしましたが、実はすべての企業の離職率が確認できるわけではありません。離職率については公開していない企業もあるのです。

伊藤うみ

えっ、そうなのですね……。では、そのような場合はどのように調べれば良いでしょうか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

おすすめなのは就職エージェントを利用することです! 経験豊富なアドバイザーから就活のアドバイスだけではなく、リアルな企業情報を教えてもらうことができますよ! 

就職四季報などで離職率が調べられなかった場合、就職エージェントを利用することもおすすめです。

就職エージェントには経験豊富なキャリアアドバイザーがいます。学生だけではなく、企業ともやり取りをしているため、離職率や勤続年数について詳しい場合があります。また、就職エージェントを通して入社をした元学生から、社内の様子や働きやすさなどについて聞いている可能性もあるのです。

離職率だけではなく、企業のリアルな情報を聞くことができ、就活の進め方についてもサポートしてくれる就職エージェントの利用も、選択肢のひとつとして検討してみましょう

③説明会や選考の場面で企業に直接聞く

渡辺キャリアアドバイザー

情報収集をしても、どうしても離職率がわからない場合は、説明会や選考の場面で直接企業に聞くことも視野にいれましょう。

伊藤うみ

ちょっと聞きにくいことではありますね……。

渡辺キャリアアドバイザー

たしかに「離職率ってどのくらいですか?」とストレートに聞くのは勇気が要りますよね。企業からの印象も気になってしまうかもしれません。そのため、聞き方には少し工夫が必要です。

情報収集してもなかなか離職率がわからない場合は説明会や選考、インターンなどの場面で直接聞いてみましょう。ただし「離職率はどのくらいですか?」と聞くことは、なかなか難しいかもしれません。聞き方によっては企業から「離職率が高そうな会社に見えているのかな」と印象を下げてしまう可能性もあります。

そのため、離職率を聞くときは注意が必要です。たとえば、ストレートに聞かずに「何年程度経験を積まれている方が多いですか?」や「定着率はどのくらいでしょうか?」など「離職率」という言葉を用いずに聞くことをおすすめします

また、できれば聞くタイミングにも注意しましょう。選考の早い段階で聞くよりも、選考が進んだタイミングの方が「真剣に当社で働くかを検討している」という印象を強めることができます。また、内定獲得後、具体的な待遇のすり合わせをおこなう面談の場面などで聞くのも良いでしょう。

キャリアアドバイザーコメント

テッ ター スェ

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オススメはコレ! 離職率を知る方法

離職率の調べ方はさまざまですが、転職サイトなどで中途採用の求人情報を調べてみるのも、離職率の目安を知る手段のひとつといえます。

求人を確認する際には、自分が希望する職種以外の情報も見てみることをおすすめします。多くの職種で求人が出ている場合は、離職率が高い企業であると推測することができます。

また、中途採用の求人条件に「未経験歓迎」との記載がある場合も、業務経験者が少ない=定着率が良くない(離職率が高い)と予測できます。併せて口コミサイトなどで、実際にその企業を離れた人のコメントを見れば、離職率が高い原因を探れるかもしれません。

離職率の目安を知る手段として、余裕があれば確認してみると良いでしょう。

離職率が高い=ブラック企業とは限らない! 離職率を見るときの注意点

渡辺キャリアアドバイザー

ここからは、離職率を見るときの注意点について解説していきたいと思います。

伊藤うみ

注意点……? 離職率を見るのに何か気を付けなければならないことがあるのですか? 

渡辺キャリアアドバイザー

実はあります! たとえば、離職率が高いとブラック企業だとすぐに決めつけていませんか……? もちろん、労働環境の悪化から離職率が高くなっていることはありますが、一概に離職率が高い=ブラック企業とは限らないのです。

伊藤うみ

たしかに、離職率が高いと、企業に対して悪いイメージを持ったまま企業研究をしてしまうかもしれません……。渡辺さん、離職率を見るときの注意点についてぜひ教えてください! 

「一定期間」の設定は企業による! どの程度の期間かを確認しよう

渡辺キャリアアドバイザー

1つ目の注意点は「一定期間」の設定は企業によって違うということです! 

伊藤うみ

離職率は一定期間内の離職者の割合のことを指しますが、この「一定期間」は1カ月でも1年でも何でも良いということでしょうか? 

渡辺キャリアアドバイザー

その通りです! 期間の長さによって離職率も当然変わります。そのことを頭に入れておきましょう。

離職率をもとめるときの期間については、企業が独自に設定しています。つまり、期間の設定によってある程度離職率は調整ができることを頭に入れておきましょう。

数字だけ見るのはNG! 採用人数が少ないと1人の離職が大きく影響する

渡辺キャリアアドバイザー

また、数字だけにとらわれないようにしましょう! 

伊藤うみ

……? どういうことでしょうか? 

渡辺キャリアアドバイザー

採用人数が少ない企業では、1人の退職が離職率に大きく影響してしまうのです! 

離職率を見るときに数字だけにとらわれないようにすることも大切です。たとえば、採用人数が20人の場合、1人離職をすると離職率は5%ですが、採用人数が2人の場合1人離職をすると離職率は50%となります。

このように、離職人数が同じだったとしても採用人数が異なる場合、1人の離職が数字に大きく影響するということも覚えておきましょう

本当にホワイト企業? 離職率が低いからといって安心しないようにする

渡辺キャリアアドバイザー

最後に紹介する注意点は「離職率が低いからといって安心しないようにする」です。

伊藤うみ

今までの解説にもあったように、数字や期間に影響されることもありますものね……。

渡辺キャリアアドバイザー

そうですね。また、何度かお伝えしてきたように離職率はあくまで企業研究をするうえでのひとつのヒントとしてください。離職率だけでは、その企業のことがすべてわかるわけではないので、さまざまな角度から企業を見るようにしましょう。

離職率の低さだけで働きやすいホワイト企業と判断しないようにしましょう。先ほど解説してきたとおり、数字や期間によって離職率は変動します。離職率だけを信じないようにしましょう。

ほかのデータや説明会資料などを参考に、さまざまな角度で企業を見るようにしましょう。たとえば、今は規模の小さい会社だったとしても、数年で事業が大きく拡大することも。そのような会社では、社内人材の成長スピードも必然的に速くなります。

その結果、さらにキャリアアップしたい、ほかの企業でも通用するのか試してみたいと考え、転職を決意するというようなケースもあります。一概に離職率の高い・低いで、ブラック企業・ホワイト企業を判断することはできないのです。

大切なのはブラック企業かホワイト企業かということではなく、自分に合った会社か、合わない会社かということを覚えておきましょう。

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データでみる離職率! さまざまな離職率データを見て情報収集に役立てよう

さまざまな離職率データの画像

離職率を見るとき、その数値が高いのか低いのか、明確な基準がないからこそわからないといった相談の声を聞くことがあります。

たしかに何%以上が高くて、何%以下が低いといえるのかは人それぞれであり、明確な判断基準があるわけではありません。

そのため、ここからはさまざまな離職率のデータを紹介します。企業研究をするうえでの参考にしてみてくださいね。

渡辺キャリアアドバイザー

応募先企業のデータが平均値よりも低いのか、高いのかを見て、その企業の傾向をつかみましょう! 

日本企業における平均勤続年数

まずは日本企業における平均勤続年数を見ていきましょう。

国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告」のデータによると、2021年の平均勤続年数は12. 6年(男性14. 2年、女性10. 4年)となっています。

伊藤うみ

平均値がわかると比較検討しやすいですね! 

渡辺キャリアアドバイザー

民間企業のみで調査されたものですが、志望企業の平均勤続年数が平均よりも低いのか高いのか見比べてみてくださいね。ただ、平均勤続年数は年度によって違うので、あくまで参考程度にとどめておきましょう。

伊藤うみ

わかりました! 勤続年数が長いから良い、短いから悪いと一概には言えないと思うので、判断材料のひとつとして参考にします! 

日本企業における平均離職率

次に平均離職率を見ていきましょう。

厚生労働省の「令和3年雇用動向調査」のデータによると、2021年の平均離職率は13.9%となっています

渡辺キャリアアドバイザー

2019年が15.6%、2020年が14.2%となっており、各年度15%前後の人が離職をしていることがわかりますね。

伊藤うみ

大きな変動はありませんね。

渡辺キャリアアドバイザー

しかし、業界によって傾向や離職率の高さは異なる場合もあるので、こちらも参考程度におさめておきましょう。

新卒3年以内の離職率

新卒3年以内の離職率についても紹介します。

伊藤うみ

これは気になるデータですね! よく新入社員の約3割が離職するというのは聞いたことがありますが……。

渡辺キャリアアドバイザー

そうですね。厚生労働省が発表しているデータでも、2019年の新卒3年以内の離職率31.2%という結果が出ています。企業研究をする際には、3年以内の離職率が3割よりも高いか低いかで考えると参考になるでしょう。

最終学歴別の離職率

渡辺キャリアアドバイザー

最終学歴別の離職率も厚生労働省から発表されているので紹介したいと思います。

伊藤うみ

学歴別の離職率もわかるのですね!

渡辺キャリアアドバイザー

最終学歴別の3年以内離職率は以下のようになっています。

学歴別の3年以内離職率の画像

七五三現象という言葉があり、これは中卒新入社員の7割、高卒新入社員の5割、大卒新入社員の3割が離職する現象のことを言いますが、上記の結果からもわかる通り、かなり改善されていることがわかります。

渡辺キャリアアドバイザー

厚生労働省では企業規模別や業界別の離職率についても紹介しているので、ぜひさまざまなデータを見て活用してみてくださいね! 

キャリアアドバイザーコメント

なぜ離職率が高いのか? と考えることが大切

離職率が高い企業を見ると、ブラック企業なのではないかと不安に感じてしまうかもしれませんよね。しかし実際はそうとも限りません。離職率を見る際に重要なのは、数字だけにとらわれすぎないことです。なぜ離職率が高いのか、その要因を知ろうとすることが重要です。

なぜなら、仕事を辞める理由はマイナス要素だけには限定されないからです。たとえばキャリアアップを目指したり、将来独立するための経験を積むことを目的とした社員が多い企業では、離職率が高くなる傾向があります。そのような場合は、就業環境が良い企業である可能性も高いのです。

離職率が高い=働きにくいとは限らないので、数字だけにとらわれすぎず、その要因を知るように心掛けましょう。

注目! 離職率が高い職場と低い職場の特徴についてそれぞれ解説

離職率が高い職場と低い職場の特徴の漫画

伊藤うみ

離職率が高い=ブラック企業、離職率が低い=ホワイト企業と言い切れるわけではないということは、今までの渡辺さんの解説を聞いてきて何となく理解はできているのですが、離職率が高い職場、低い職場の特徴って何かありますか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

それぞれの職場で考えられる特徴について知りたいというわけですね。わかりました! 離職率が高い職場と低い職場の特徴について解説していきましょう。

伊藤うみ

よろしくお願いします! 

離職率が高い職場の特徴

渡辺キャリアアドバイザー

離職率が高い職場の特徴から説明したいと思います。

伊藤うみ

やはり一般的には離職率が高い職場は悪いイメージがありますよね。

渡辺キャリアアドバイザー

たしかにそうですね。しかし悪いことばかりではないため注意が必要です。良い面も存在するので、一つひとつ見ていきましょう! 

ここからは、離職率が高い職場の特徴について、良い面、悪い面をそれぞれ2つずつ紹介していきます。良い面だけ、悪い面だけを知るのではなく、両面を知ることが大切なので、自分はどのような環境で働きたいのかということを考えながらそれぞれの特徴を押さえましょう

良い面①|他社でも通用するスキルが習得できるとも言い換えられる

離職率が高い理由の一つとして、ほかの会社でも通用するスキルが身に付き、転職する人が多いということも挙げられます。

また、優秀な人材は「うちの会社で働かないか」と転職の打診を受ける可能性もあります。このように、離職率が高いということは悪い面ばかりではなく「ほかの企業でももとめられるスキルを獲得できるかもしれない」ということを覚えておきましょう。

良い面②|成績次第では昇進しやすい環境である

離職率が高いということは離職率が低い会社に比べて、役職のポストに空きが出やすく、成績次第では昇進しやすいともいえます。

今は離職率が高くても、企業が成長し大企業となる過程で離職率が低くなる可能性もあります。その場合、大企業となってから入社しても、上位層のポストがなかなか空かず、昇進することが難しくなります

しかし、離職率が高いベンチャー企業の段階で入社をし、実力をつけていけば会社が成長していく過程で昇進もしやすくなります。

悪い面①|残業が多い傾向にある

離職率の高い職場で最も想像されやすいのは、労働時間の長さではないでしょうか。離職率の高さは、たしかに労働環境、特に残業時間などが影響することが多いです。

朝早くから仕事をすることや、定時後も夜遅くまで仕事をすることで、仕事とプライベートをわけることができなくなり、心や体に負担がかかると「この仕事を続けていく自信がない」と感じてしまうのです

平均残業時間は求人に記載があったり、キャリアアドバイザーに聞くことでわかるので、気になる人は確認しておきましょう。

悪い面②|教育制度などが整っていない可能性が高い

教育制度が整っていないことも離職率の高い会社の特徴として挙げられます。新入社員の中には、今までアルバイトなどでも働いた経験がなく、社会に出て初めて働くということを経験する人もいます。

基本的なマナーや業務への知識が乏しい状態で、研修もなく現場配属となると、新入社員は何をしたら良いのかわからないといった不安やストレスを抱えることになります。

新人研修だけではなく、マネージャー研修やキャリア講座など、社会人として成長したい人からすると、研修制度や教育制度が整っていないことはマイナスに感じてしまい、転職に踏み切るといったこともあるでしょう

離職率が低い職場の特徴

渡辺キャリアアドバイザー

次に離職率が低い職場の特徴について解説します! 

伊藤うみ

離職率が低い職場=良い職場といったイメージがありますね! 悪い面があまり思い浮かびませんが……。

渡辺キャリアアドバイザー

社員が定着しているという点では良い会社といえますよね。ただ、人員の入れ替わりがないことで、発生する悪い面もあります。それぞれ見ていきましょう! 

良い面①|労働環境が整っている傾向にある

離職率が低い職場は労働環境が整っている可能性が高いです。残業時間が少なく、仕事とプライベートの両立ができたり、頑張れば頑張っただけ正当に評価される環境であれば、「この会社で働き続けたい」と考えるでしょう。

離職率が低い会社は社員の満足度が高いとも言い換えられるのです。最近では、フレックスタイム制度などの柔軟な働き方が認められている企業も「労働環境が整っている」と感じる要因のひとつとなっています

良い面②|人間関係が良好である可能性が高い

また、離職率が低い会社は人間関係が良好である可能性が高いです。

〇〇ハラスメントという言葉もよく聞かれる通り、どれだけ仕事内容に満足していたとしても、職場内で「いやがらせ」や「いじめ」があれば、長く勤務しようとは考えないでしょう。

逆に職場の雰囲気が和やかで、上司との1対1の面談もこまめにおこなってメンバーの悩みや不安を解決しようとしている会社は、離職率が低くなる傾向にあります

悪い面③|役職ポストが空かないため昇進しにくい

しかし、悪い面もあります。離職率が低い職場は役職ポストも当然空きません。実績を残したとしても、なかなか昇進できない環境では、若手のモチベーションを保つことが難しく、成長スピードを下げてしまう可能性があります

ただ、中には年功序列よりも実力を重視し、成績次第で昇進できる企業もあります。離職率の低い企業で役職についている社員に話を聞く機会などがあれば、どのようにキャリアを築いたかを聞くことをおすすめします。

悪い面④|変化を受け入れづらい組織体制である可能性が高い

先ほど、なかなか役職のポストが空かないという特徴を解説しましたが、社内のメンバーが変わらないことで、新しいことを始めたり、変化を受け入れづらい組織体制になっている可能性もあります。

離職率が低く、新しい人材を募集する必要もない場合、新しい考え方や前職の知識を持った中途社員と働くといった機会も少なくなります

職場の人間がかわらないことで緊張感が徐々になくなり、組織がマンネリ化しているといった可能性もあることを頭に入れておきましょう。

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離職率が高い業界・低い業界とは? 業界別の離職率について解説

業界別の離職率について解説の画像

伊藤うみ

離職率が高い職場の特徴と低い職場の特徴、それぞれよく理解することができました! 離職率が高い・低いからといって良い、悪いと決め切れないのですね。

渡辺キャリアアドバイザー

はい。大切なことは「離職率の背景にどのようなことが隠れているのか」です。職場の環境は入社してみないとわからない部分ももちろんあります。しかし、さまざまなデータや社員の方の話からある程度予測できるものでもあるため、しっかりと確認しましょう。

伊藤うみ

離職率だけではなく、さまざまなデータを集めることが大切なのですね! ちなみに、離職率が高い業界や低い業界を教えてもらうことってできますか? 業界研究や企業研究に役立てたいのですが……。

渡辺キャリアアドバイザー

良い視点ですね。離職率が高いと感じても、業界内ではそこまで高い数値ではない可能性があったりするので、業界の傾向を知るのは大切です。では、ここからは離職率が高い傾向にある業界と離職率が低い傾向にある業界について解説します! 

ここからは離職率が高い業界と低い業界について、厚生労働省の「新規学卒者の離職状況」のデータをもとに紹介していきます。このデータは2019年の新規大卒就職者が3年以内に離職している割合を業界ごとに算出しています。

離職率が高い傾向にある業界

離職率が高い傾向にある業界は以下の3業界となっています。

  1. サービス業界|娯楽・宿泊・飲食・生活関連サービス業
  2. 教育業界|教育・学習支援業
  3. 医療福祉業界|医療機関・福祉施設

渡辺キャリアアドバイザー

接客や教育、医療など日常生活の近くでサービスがおこなわれている業界という共通点がありますね。

①サービス業界|娯楽・宿泊・飲食・生活関連サービス業

ホテル、飲食店といったサービス業界が離職率がもっとも高いと言われています。年によっては離職率が50%を超えることもあります。

接客業では大きなクレームも入ることがあり、アルバイトなどで接客経験がない新入社員にとっては精神的な負担が増えることが離職率が高くなっている背景として考えられます

また、ホテルや飲食店などは日頃から利用していることから、実際に働いてみるとギャップを感じてしまうといったケースや、土日休みではない傾向にあること、夜勤などで生活のリズムが崩れてしまうといったことが離職率を高める要因となっているようです。

渡辺キャリアアドバイザー

しかし、「ありがとう」と直接感謝される職種でもあるため、やりがいは大きい仕事ともいえるでしょう。

②教育業界|教育・学習支援業

次に離職率が高いといわれているのは教育業界です。学校教員や塾講師などが教育業界に当てはまります。少子高齢化が進んでいることから競争も激しい業界といえるでしょう

教育業界と聞くと子どもに勉強を教えるといったイメージが強いかもしれませんが、実際には試験の問題作成や採点、保護者との面談、授業の準備など子どもと接する時間よりも、それ以外の時間が想像していたよりも多いことが離職につながるケースが多いです。

伊藤うみ

ただ、子どもとかかわる時間を有意義なものにするためには、授業の準備や保護者との面談、テスト作成などはかかせないものですよね。それに、やはり子どもが成長していく過程が見られるのは、とてもやりがいが大きいと思います! 

③医療福祉業界|医療機関・福祉施設

3番目に離職率が高いと言われているのが、医療福祉業界です。病院や介護施設、薬局などがこれにあたります。

医療や福祉は、命にかかわる重要な仕事です。そのため責任も大きく、ときには患者や利用者が亡くなる場面に立ち会わなければなりません。夜勤やシフトでの勤務が基本となっていることも離職率が高い背景として挙げられるでしょう

渡辺キャリアアドバイザー

しかし、少子高齢化と言われている今、医療福祉業界は需要が高くなる業界です。特に介護の領域では、働き手の待遇を改善するための処遇改善手当の加算や介護ロボットの導入などが進んでいます! 

離職率が低い傾向にある業界

離職率が低い傾向にある業界は以下の3業界となっています。

  1. インフラ業界|電気・ガス・熱供給・水道業
  2. メーカー業界|製造業
  3. 鉄鋼・金属・鉱業業界|鉱業、採石業、砂利採取業

伊藤うみ

普段、働いている様子は見えてこないような業界ですね! 

渡辺キャリアアドバイザー

たしかにそうですね。インフラや鉄鋼など、人々の生活にかかせないもので景気にあまり左右されない業界なので、安定しているという共通点もありますね。

①インフラ業界|電気・ガス・熱供給・水道業

離職率がもっとも低い業界と言われているのがインフラ業界です。

電気やガス、水道など私たちの生活に欠かせない業界です。これらの業界は常に需要があり、会社の業績が安定していることから離職率は毎年10%に満たないことが多い傾向にあります

渡辺キャリアアドバイザー

会社の業績が安定しているため、社員が働きやすい環境にするための整備にも力を入れることができます。待遇や職場環境が整っていて、勤続年数の長い社員が多い業界という特徴がありますよ。

②メーカー業界|製造業

2番目に離職率が低いと言われている業界がメーカー業界です。「ものづくり」にかかわる業界ですが、離職率は毎年20%前後となっています。

メーカー業界は歴史のある企業や大企業が多く、従業員の労働環境や福利厚生に関しても時間やコストをかけて改善してきた経緯があります

伊藤うみ

メーカー業界はほかの企業と比べて待遇や労働環境が良い傾向にあるため、離職する人が少ないのですね。

渡辺キャリアアドバイザー

工場勤務だったとしてもシフトがしっかりと決まっているので、残業時間がそこまで多くならないといったことも離職率が低い要因のひとつになっていますよ。

③鉄鋼・金属・鉱業業界|鉱業、採石業、砂利採取業

離職率が3番目に低い業界は、鉄鋼・金属・鉱業業界です。2019年の離職率は20.1%で、例年10〜20%前後となっています。

鉄鋼・金属・鉱業業界は、石油やガソリンなど生活に必要な資源を扱う業界です。

資源を扱う専門性の高さから競合他社が少なかったり、個人だけではなく企業間の取引(=BtoB)が活発なことから、業績は安定していることが多く、このことが離職率の低下につながっています

伊藤うみ

なかなか仕事をしている様子が見えない業界は、あまり調べてこなかったのですが、これをきっかけにさまざまな業界についてもっと勉強しようと思いました。自分にとって働きやすい会社が見つかるかもしれません! 

そもそも自分がどのような業界に進んだら良いのか、と就職先を決められずに悩んでいるのであれば、こちらの記事がおすすめです。就職先の決め方についてマンガでわかりやすく解説しています。
就職先の決め方にもう迷わない! マンガでわかる見つけ方5ステップ

キャリアアドバイザーコメント

あくまで業界全体の平均値ということを頭に入れておこう

業界によって離職率の高低差はもちろんありますが、その業界に属する企業がすべて当てはまるわけではないので注意が必要です。離職率はあくまでも業界全体の平均値となるため、それだけを鵜呑みにすることがないようにしましょう。

離職率はあくまでもひとつの目安です。それだけにとらわれすぎず、企業研究と自己分析をおこない志望企業を見極めることが重要です。もし離職率が高い業界であっても、自分のやりたい仕事ができるのであれば、応募を前向きに検討しても良いでしょう。

さまざまな要因を検討して、自分に合う企業をしっかり見極めようとする意識が大切ですよ。

自分が活躍できる企業を選ぼう! 早期離職しないために今やるべきこと5選

伊藤うみ

離職率が高いことが一概に悪いとはいえませんが、やはり早期離職しないことに越したことはありませんよね……? 

渡辺キャリアアドバイザー

そうですね。キャリアアップのための転職はもちろん自分を成長させるうえで必要なことかもしれませんが、「思っていた仕事内容と違った」「聞いていたのと違う」と入社前に考えていたイメージとのギャップを理由に早期離職をすることはもったいないです。

伊藤うみ

そうですよね……。渡辺さん、ミスマッチや早期離職を防ぐために今からできることがあれば教えていただきたいです! 

渡辺キャリアアドバイザー

はい! もちろんです。後悔のない就活をするために、学生時代の今やるべきことについて最後に解説させてもらいます! 

①自己分析×企業研究で自分に合った企業を見つけよう

渡辺キャリアアドバイザー

まずもっとも大切なことは自分に合った企業を見つけることです。自分に合った企業を見つけることができれば早期離職は防げるでしょう。

伊藤うみ

自分に合った企業を見つけるためにはどのようなことをすれば良いのでしょうか……? 

渡辺キャリアアドバイザー

自分に合った企業を見つけるには自己分析と企業研究は必須です! 詳しく説明していきますね。

早期離職にならないためには、自分に合った企業を見つける必要があります。離職の大きな理由として入社後のミスマッチが挙げられます。

入社後のミスマッチをおこさないためには自己分析と企業研究をしっかりすることが大切です。自己分析は、自分の今までの人生を振り返ることで「どんなことのやりがいを感じてきたのか」「どのようなことを得意としているのか」、逆に「どのようなことを苦手に思っているのか」など、自分自身について理解を深めることで見えてきます。

自分の強みや何にやりがいを感じるのかを理解したうえで、業界や企業研究を進めましょう。自分が活躍できる環境かどうかなどを照らし合わせながら進めてみてくださいね。

企業研究のおすすめのやり方

  • 企業HPから事業内容や理念などを調べる
  • 企業の強みや主力事業について調べる
  • 経営者がどのような人なのかを調べる
  • 今後その会社がどのような将来を描いているのか、動向を知る
  • インターンシップやOB・OG訪問で社内の雰囲気を知る

自己分析にはさまざまな方法があります。こちらの記事では自己分析の方法を15選紹介しています。自分に合った方法を見つけましょう。
簡単15のやり方で自己分析はもう迷わない! 活用法を徹底解説

自己分析×企業研究で志望動機も作成することができます。こちらの記事を読んで、選考に通過する志望動機の書き方をマスターしましょう。
例文11個|面接に受かる志望動機は 「自己分析×企業研究」で完成

インターンシップに参加して実際に仕事をしてみよう

渡辺キャリアアドバイザー

企業HPや就職四季報だけでは知りたい情報がすべて集められない可能性があるので、そのような場合はインターンシップに参加することもおすすめです! 

伊藤うみ

インターンシップなら実際に一緒に働くことができるので、社内の雰囲気を感じやすく、仕事内容もより詳細なところまで理解できますよね! 

インターンシップは就業体験のことを指し、志望先企業の社員と一緒に実際に業務に参加することが可能になります。企業は学生のスキルや人柄についてよく知ることができ、学生も説明会だけでは伝わらなかった仕事のやりがいや社内の雰囲気を感じ取ることができます。

「想像していた仕事と違った」と学生側が感じてしまうことが、早期離職につながるケースもあるので、学生時代のうちに志望先の企業で働けることは入社後のミスマッチを防ぐうえで有効といえるでしょう

そもそもインターンについてよく理解していないという人は以下の記事で確認してみましょう。応募方法から対策方法まで幅広く解説しています。
インターンとは? 意味・特徴・時期・準備・すべきことを一挙解説!

③OB・OG訪問で働く人の声を聞いてみよう

渡辺キャリアアドバイザー

インターンシップもおすすめですが、OB・OG訪問をすることも社員の生の声を聞ける絶好のチャンスといえます! 

伊藤うみ

大学の先輩ならリアルな情報や就活へのアドバイスももらえそうですね! 

OB・OG訪問とは興味のある企業で働く、大学の先輩を訪問し、話を聞くことです。インターンシップと同様、社内の雰囲気や仕事内容をより深く知る良い機会になっています。

大学を卒業した先輩がその企業でどのようなキャリアを積み、どのようなポジションで働いているかを知ることができれば、入社後のビジョンをイメージするヒントになるでしょう

また、就活についてのアドバイスなども受けられるため、早期離職を防ぐだけではなく、就活をスムーズに進めるうえでもOB・OG訪問は役に立つでしょう。

OB・OG訪問ではどのような質問をするかが鍵になります。有意義な時間を過ごすためにも、こちらの記事で質問の仕方についてマスターしましょう。質問例も80選と豊富に紹介しています。
質問例80選|OB・OG訪問の質問で就活の心配事を一掃しよう!

④就職エージェントを利用してアドバイスをもらおう

渡辺キャリアアドバイザー

離職率の調べ方についての解説でもお伝えしましたが、就職エージェントの利用もおすすめです。

伊藤うみ

就職エージェントは学生だけではなく企業側ともやり取りをおこなっていることから、リアルな情報を入手できるのですよね! 

「一人で就活を進めるのには不安がある」「離職率や有休消化率など直接企業に聞きづらいことを確認したい」といった人におすすめなのが就職エージェントの利用です。

社会人の先輩としても経験豊富なキャリアアドバイザーが、さまざまな企業の中からあなたに合った求人を提案してくれます

多くの学生と企業をマッチングしてきたキャリアアドバイザーからのアドバイスは、就活を進めるうえで、そしてミスマッチを防ぐうえで役立つことでしょう。

⑤キャリアセンターに相談してみよう

渡辺キャリアアドバイザー

エージェントよりも身近なところにあるのがキャリアセンターです。大学内に設置されている可能性が高く、学生の就活のサポートをおこなっています。

伊藤うみ

利用したことなかったです……! 

渡辺キャリアアドバイザー

キャリアセンターは大学の就活に関する総合窓口のようなものです。気軽に相談してみてくださいね。

大学のキャリアセンターは、学生の就活を支援する役割を担っています。個別に相談ができるだけでなく、就活のマナー講座や志望動機の書き方講座、模擬面接など就活をサポートするための活動がおこなわれています。

キャリアセンターで就活の進め方についてアドバイスをもらうことで、ミスマッチを防ぐことができます。また、卒業生のデータを集めていることが多いので、OB・OG訪問をしたいと考えたときにも相談すると良いでしょう

キャリアアドバイザーコメント

テッ ター スェ

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知っておこう! 社員の離職率を下げるための企業の取り組み

企業では、従業員の離職率を下げるためにさまざまな工夫や取り組みをおこなっています。

たとえば、研修教育制度や福利厚生の充実は代表的な取り組みのひとつです。そのほかにも、有給休暇や育児休暇の取得を奨励するなど、社員が働きやすいと思える環境を整備するために、日々企業は努力しています。

最近では、記念日休暇やバースデー休暇など、独自の福利厚生制度を取り入れる企業も増えてきています。

企業選びの際には、企業がおこなっている取り組みや取り入れている制度を知り、ひとつの指標にできると良いでしょう。

ミスマッチには要注意! 離職率を見て企業選びの判断材料の1つにしよう

伊藤うみ

離職率のこと、よく理解できました!

渡辺キャリアアドバイザー

素晴らしいですね。離職率が高いとそれだけで「悪い会社」として見てしまう学生はとても多いです。ですから、しっかりと離職率の意味を理解し、離職率の背景にはどのようなことがあるのかを考えることで、ほかの学生よりもより深い企業研究ができることでしょう! 

伊藤うみ

渡辺さん、私、離職率だけではなく、さまざまな角度から企業を見ることで、企業のことを深く理解しようと思います! 

渡辺キャリアアドバイザー

その意気です! 伊藤さんが自分に合った企業を見つけられることを祈っています! 

記事の編集責任者 小山内 隆

アクセス就活PLUSを運営するアクセス通信(現アクセスネクステージ)に新卒入社。就職サイト「アクセス就活」の立ち上げや、関西支社の営業責任者を経て、名古屋支社の責任者として立ち上げを担う。人事採用支援のほか、就活相談や就活講座の講師などキャリアアドバイザー職を経験した後、2017年に同社役員。現職は採用アウトソーシング(RPO)事業の担当執行役員 > メッセージを読む

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